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導入事例

有限会社 遠藤印刷
代表取締役
遠藤 憲治氏
  『面付け職人』で全工程をPDFベースに。
− 次世代印刷の標準として注目を集めているPDF/X1-a。遠藤印刷では、PDF/X1-aがISOに認定される前からPDFワークフローを導入している。JPC・PDF部会の委員を勤めたPDFのオーソリティーでもある代表取締役・遠藤憲治氏にPDF/X1-a のメリットとその将来について聞いた。
PDF/X1-aを使う最大のメリットは、いままで出力担当者が苦労していたことが解決されることです。フォント管理やカラーマネージメントがラクになり、画像のリンク外れなども問題も起こらない。フォントを埋め込み指定すれば、ちゃんと出力できます。ウチのセッターにはフォントはひとつもインストールしていないんですよ(笑)。でもちゃんと動いてしまう。極端なやり方だとは思いますが、これもPDFがあるからこそできるコストダウンです。フォントの管理などの面倒くさい作業も必要ないですしね。
 
− 経営という観点から見たPDFワークフローのメリットは?
スキルレスであることでしょうね。いまのプリプレスの世界では出力担当者の重要度が非常に高い。しかし、一個人の力に大きく依存することは会社にとってネックになりかねない。PDF/Xをベースにすれば、高いスキルがない人でも出力まで受け持つことができるようになります。要はPDFを作れる程度のスキルさえあればいい。一度PDF化してしまえば、出力はボタンを押すだけです。プリンターと同様にセッターやCTPを制御できます。これによって、一部の出力担当者に集中していた負荷を分散することができます。
また、Acrobat6.0では、PDF化した段階で出力可能かどうかがわかる点も大きい。いままではRIPに投げてみて初めて分かった出力エラーがもっと手前の工程で確認できる。その際、PDFネイティブ対応の『面付け職人』の役割は大きい。すべての工程をPDFベースで行うことができるので仕事全体がスムーズに流れます。最終的な段階になってから出力できないという事態を回避できるので、無駄な作業が無くなりますね。
 
 
− Windowsデータの出力はどうでしょうか?
PDFのもうひとつのメリットは、いままでは出力しにくかったWindowsデータを印刷に結び付けることができるという点です。現在、いわゆる一般の印刷市場は収縮する一方で、ビジネスドキュメントの市場はどんどん広がってきています。この市場に参入するためにはWindowsへの対応がどうしても欠かせない。PDFはこのために一番いい選択肢です。実際、ウチの仕事の7割ぐらいはWindowsデータをカラーで出力するというものです。クリエイティブの世界ではまだMacintoshが多いですが、InDesignがきっかけとなってビジネスユース以外のWindowsデータ市場も大きくなっています。例えば、マニュアル類などは、InDesignのWindows版で作られたデータを出力するケースが増えてきている。官公庁などの印刷物はお客様がWindows版のWordでデータを作る場合も多いですね。
また、いまの世の中はスピード重視です。お客様側では、いままでのようにきちんとした校正を送って確認するよりも、コストを掛けずに手早く納品して欲しいという要望が強くなっています。PDFを使ってデータをネットワークでやり取りすればいちいち出力しなくても校正ができますよ。いままで校正を出力してバイク便などで送っていたものがネットでやりとりできる。我々の側から見れば、配送料などのコストも削減できるし、お客様から見れば最終出力のイメージをいち早く確認できるわけです。この結果、印刷がとてもスピーディになります。それに両方がラクになる。やっぱり人間、ラクなほうがいいでしょ(笑)。ですから、お客様がPDFを使ったフローに慣れるのは時間の問題でしょう。PDFワークフローを導入すれば、こうした顧客を開拓できます。
 
− PDFは製版印刷業にとって大きなチャンスになるわけですね。
そうですね。当たり前のことですが、アートとしての印刷だけをやっていては経営は成り立ちません。会社を回していくためには、ビジネスの分野で発生する仕事も積極的に取り込んでいかなければならない。そのためにはPDFは必須です。現状、製版印刷会社が仕事を増やしていくためには、PDFに対応することが最も手っ取り早い方法でしょう。
それからデジカメの普及なども影響しています。これからは、お客様がJPEGのデータをペタペタと貼り付けたWordのデータをそのまま持ち込むケースがどんどん増えてくるでしょう。この間、古書店から顧客配布用の冊子の仕事をいただきましたが、それもお客様がデジカメで撮影した古書のページイメージをWindows版Illustratorでレイアウトしたデータでした。いままでのサービスビューローではこうしたデータを「できません」と断っていましたが、いまはそんなことは言っていられない。逆にそうした仕事もうまく取り込んでいかなければ生き残れません。要は考え方を変えることです。そうすることによって仕事が広がっていきます。
   
− PDFベースで仕事を進める上で、『面付け職人』のメリットはなんでしょう。
ウチでは10以上のRIPを使っていますが、実際のところ、DTPアプリケーションから直接出力できないセッターはまだまだあります。『面付け職人』を使ってPDFベースで作業すれば、いままで出力できなかったデータもすべて出力できるようになる。これは大きいですね。
『面付け職人』の良さは、日本の印刷製版の事情をよく理解しているところです。それに安い。この価格なら軽オフ屋でも買える(笑)。PDF専門の安い面付けソフトもありますが、海外のソフトは設計思想が違うので日本の印刷物づくりの現場にはいまひとつ馴染まない。例えば背丁や背標などがそうです。ウチでは、部数が多すぎるときは大きな印刷会社に依頼して出力するのですが、その際に背標や背丁が必要になる。でも海外の印刷ではそういう概念がないので困ります。その点、『面付け職人』は純国産ですから、日本の印刷現場に合っています。操作面ではプレビューが見えるのでとても作業しやすいですね。また、サポートも非常にいい。要望としては、日本の面付けの基準を作って欲しいですね。面付けの世界はハウスルールが多すぎる。『面付け職人』にはそういう役割を期待しています。あとはWindows版がでればね(笑)。
 
− 最後に今後の展望についてお聞かせください。
ウチのモットーは、小ロットを迅速かつリーズナブルにご提供すること。今風に言うと、オンデマンドサービスプロバイダー。まあ、要するに軽オフ屋です。軽オフセットというと未だにガリ版やタイプといったイメージがあるかもしれませんが、これからはそれでは生き残っていけない。
既にある程度の市場を獲得している大きな印刷会社と違い、ウチのような後発の会社は、大手とどこかで差別化を図らないと市場に切り込めない。このためにはRGBカラーやビジネスドキュメントのデータへの対応が有効です。この際、PDF/X-1aは大きな力となります。
また、小さい企業だけではなく、大きな企業になるほど文書のPDF化は進んでいる。実際、ヨーロッパやアメリカではPDFでの入稿が当たり前になっています。また、プライベートショーで配付するブローシャーなどもやはりPDFでの入稿が多い。100部ぐらいまでならドキュカラーなどで出力しても予算は見合いますが、それ以上になるとペイできない500〜2000部ぐらいになるとやはりオンデマンド印刷の方が有利です。最近はこうした需要が非常に高まってきています。大手よりも中小のオンデマンドサービスプロバイダーのほうがお客様のこうしたご要望に素早く対応できるのではないでしょうか。
 
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